サックスの演奏を再現しよう

サックスは、豊かな音色と多彩な表現力を持つ楽器です。VA音源では、グロートーン(歪ませた音)やサブトーン(かすれたような音)、ハーフタンギング(ミュートされた音)などの特殊奏法を含めて、サックスのさまざまな演奏を再現することができます。

では、さっそく操作をはじめましょう。

前回と同じように、講座ではSOL/XGworksのXGエディターとS-YXG100Plusを使って操作を行います。


テナーサックスを選択

SOL/XGworksを起動し、XGエディターから下記の画面を表示させ、テナーサックスのボイスを選択します。

ボイスの選択について忘れちゃった方は、前回の説明(ここをクリック)で復習してください。


コントローラーの設定

次に、サックスの演奏で使用するコントローラーにコントロールナンバーを設定して、コントローラーの機能を解放してやりましょう。

XGエディターから、前回と同じ手順(記憶に無ければココをクリック)で、パートエディット画面のVL関連のパラメーターを設定するページ(下図)に切り替えましょう。

ここで、下記の設定を入力します。

Pressure Control(プレッシャー) No.=3、 Depth=63
Embouchure Control(アンブシュア) No.=9、 Depth=63
Tonguing Control(タンギング) No.=12、Depth=63
Scream Control(スクリーム) No.=13、Depth=63
Breath Noise Control(ブレスノイズ) No.=14、Depth=63

上記の操作ができたら、XGエディターの設定をトラック1の1小節めに挿入しましょう。

次の手順で操作してください。

  1. パートエディット画面とイージーエディット画面を閉じて、XGエディターの初期画面に戻ります。
    間違ってXGエディターを閉じてしまわないように気を付けてください。

  2. XGエディターのツールバーから[XGパラメーター挿入]ボタンをクリックし、[XGパラメーター挿入]ダイアログで[OK]をクリックします。


              


  3. ブロックを作るかどうかたずねてくるので、[OK]をクリックします。
    これで、XGエディターのすべての設定がトラック1に挿入されました。

SOL/XGworks以外のシーケンサーを使っている場合は、次のシステムエクスクルーシブを入力してください。

Pressure Control No.=3 F0 43 10 4C 09 00 03 03 F7
Pressure Control Depth=63 F0 43 10 4C 09 00 04 7F F7
Embouchure Control No.=9 F0 43 10 4C 09 00 05 09 F7
Embouchure Control Depth=63 F0 43 10 4C 09 00 06 7F F7
Tonguing Control No.=12 F0 43 10 4C 09 00 07 0C F7
Tonguing Control Depth=63 F0 43 10 4C 09 00 08 7F F7
Scream Control No.=13 F0 43 10 4C 09 00 09 0D F7
Scream Control Depth=63 F0 43 10 4C 09 00 0A 7F F7
Breath Noise Control No.=14 F0 43 10 4C 09 00 0B 0E F7
Breath Noise Control Depth=63 F0 43 10 4C 09 00 0C 7F F7


コントローラーの働き

現在選択しているテナーサックスのボイスについて、設定したコントローラーにどんな効果が設定されているのかを次に説明しておきましょう。

  • Pressure Control(プレッシャー)
息を吹き込む強さをコントロールします。
値を大きくすると、タンギングをして息を強く吹き込んだときのような、アタックが強く張りのある大きな音が出ます。
値を小さくすると音がかすれて出にくくなり(歪んだように聞こえる場合もあります)、さらに小さくすると管の中を息が通る音だけが聞こえるようになります。
  • Embouchure Control(アンブシュア)
マウスピースをくわえたときの、口や唇の形などをコントロールします。
本来のサックスですとアンブシュアを変えると音程が大きく変化するため、しゃくり上げなどのピッチ変化はアンブシュアでコントロールしています。しかし、このボイスではアンブシュアを変更してもピッチはあまり変化しません。
値を大きくすると音が若干細くなり、小さくすると若干太くなるようです。
ただし、アンブシュアによってスクリームなど、他のコントローラーの係り方が大きく変わるようなので、値を変えながら最適な状態を見つけてください。
  • Tonguing Control(タンギング)
リードの振動を舌でミュートする強さをコントロールし、ハーフタンギングの効果を出します。ハーフタンギングは、リードの振動を舌でミュートして、弱い音やゴーストノートを出す奏法です。フレーズの中に効果的にハーフタンギングの音を混ぜることで、リズムにメリハリを付けることができます。
値を小さくするほど舌によるミュートが強くなり、音が小さく柔らかくなります。通常は、大きな値を入力しておき、ハーフタンギングさせたい音の直前に小さな値を入れてるといいでしょう。
値を下げることで、フィルターをかけたときのように音色が柔らかくなるので、音色エディット用に使ってもいいと思います。
音の立ち上がりを表すタンギングとは、まったく関係ないので注意してください。
ちなみに、音の立ち上がりのタンギングは、プレッシャーの値と直前のノートのゲートタイムでコントロールできます。

  • Scream Control(スクリーム)
音を歪ませる強さをコントロールし、グロートーンを出します。グロートーンとは、喉の奥で「う〜」と声を出し(うなり)ながらサックスを吹くことで、割れたような歪んだ音を出す奏法です。張りがあり、迫力のある音色が出ます。
値を大きくするほど音が歪みます。通常は、0を入力しておきましょう。

  • Breath Noise Control(ブレスノイズ)
ブレスノイズ(息の音)の音量をコントロールします。Tonguing Control(タンギング)で音を少しミュート気味にしてブレスノイズを上げると、サブトーンの効果を出すことができます。サブトーンとは、ムーディーなサックスで使われる、かすれたような音のことです。低音のメロディーをソフトに響かせたい時などに頻繁に使われます。
値を大きくするとブレスノイズの音量が大きくなり、0でノイズが無くなります。


音符の入力

トラック1の2〜3小節めに、下記の楽譜を入力してください。

スタッカートの付いている音符は、ゲートタイムを少し短めにお願いします。


コントローラーの初期値の入力

音符を入力しただけでは、再生しても音は鳴りません。

もし、音が鳴っているようなら、ここまでの操作が違っている可能性があります。次の2点をチェックしてください。

  • 音色の設定で、VL音色ではなく通常のXGボイスが選択されないかどうか確認してください。

  • コントローラーの設定がトラック1の1小節めに入力されているかどうか確認してください。

ここで質問です。

この状態で、なぜ音が鳴らないか判りますか?

その答えは…

コントローラーを設定して機能を有効にしたのに、コントローラーの値を入力していないため、プレッシャーが0に設定され、息を吹き込んでいない状態になっているので音が鳴らない、というのが正解です。

では、コントローラーの初期値を設定して、音が鳴る状態にしたいと思います。

トラック1の1小節4拍めに、下記のコントロールチェンジを入力してください。

XGworksV3.02をお使いの方は、リストウィンドウを使って入力してください。

コントロールナンバー3(プレッシャー)… 105
コントロールナンバー9(アンブシュア)… 64
コントロールナンバー12(タンギング)… 127
コントロールナンバー13(スクリーム)… 0
コントロールナンバー14(ブレスノイズ)… 10


(SoundVQファイル/13K)

音が鳴るかを確認しましょう

※VA音源が接続されていない環境では、MIDIファイルは正常に発音しません。


(MIDIファイル/1K)

設定を少しずつ変えてはじめから再生し、各コントローラーの働きを確認してみましょう。

確認が終われば、上記の値に戻しておいてください。


ハーフタンギング(タンギング)の入力

2小節2拍めの16分音符の「ソ」に、ハーフタンギングの効果を入力します。

「ソ」の直前に、コントロールナンバー12…30を入力します。

次の「ラ」の直前に、コントロールナンバー12…127を入力します。


(SoundVQファイル/13K)

ハーフタンギングの効果を聞いてみましょう

※VA音源が接続されていない環境では、MIDIファイルは正常に発音しません。


(MIDIファイル/1K)

いかかでしょうか?

2小節2拍めの16分音符の「ソ」が微妙に小さくなり、音のつながりが自然になったと思います。

値を変えて、何度も再生してみてください。


グロートーン(スクリーム)の入力

3小節めの「シ」に、グロートーンの効果を入力します。

「シ」の直前に、コントロールナンバー13…65を入力します。


(SoundVQファイル/12K)

グロートーンの効果を聞いてみましょう

※VA音源が接続されていない環境では、MIDIファイルは正常に発音しません。


(MIDIファイル/1K)

いかがですか?

「シ」の音が、割れたような、歪んだような音色になり、演奏に迫力が出たと思います。


他のコントローラーの入力

これに加えて、プレッシャーとピッチベンド、モジュレーションを入力してみましょう。これらのコントローラーについては、通常のPCMでサックスの演奏をシミュレートする手法と同じです。

プレッシャー(コントロールナンバー3)は、主に音の丸め込みに使ってください。PCMのサックスをシミュレートする場合の、エクスプレッション(CC#11)のつもりで使えばいいでしょう。

モジュレーション(コントロールナンバー1)は、2小節3拍めの「シ」と、3小節めの「シ」でビブラートをかけます。VA音源のビブラートは単にピッチだけを揺らすのではなく、アンブシュアの値を周期的に変化させているので、実際の楽器により近い効果になります。

ピッチベンドは、音のしゃくり上げに使いましょう。また、3小節めの「シ」のピッチを3拍め当たりから下げると効果的です。


(SoundVQファイル/13K)

プレッシャー、ピッチベンド、モジュレーションを確認しましょう

※VA音源が接続されていない環境では、MIDIファイルは正常に発音しません。


(MIDIファイル/1K)

以上、サックスの演奏を再現する方法が理解してもらえたでしょうか。

コントローラーを使うことで、ハーフタンギングやグロートーンといったサックスならではの演奏まで含んだ、PCMとはひと味違った演奏が再現できるわけです。

この講座をヒントにして、サブトーンやパーカッシブトーンなど、サックスの他の特殊奏法の再現方法なども研究してみてください。


他の楽器についても、サックスと同じような手順で入力することで、その楽器らしい演奏を再現することができます。

サックスの手順で説明したように、ポイントはコントローラーの使い方にあります。楽器に適したコントローラーをいかに上手く使いこなすかが、その楽器の演奏を上手く再現できるかどうかの分かれ目になります。

また機会があれば(VA音源講座Part2が実現できれば)、フルートやトランペットなど、他の楽器について、どのコントローラーを使えばいいかを説明したいと思います。

次回は、VA音源のエディットについて説明する予定です。

こうご期待!!

では、さようなら。

   → お ま け