実際に経験してみないと気づかないようなことですが、ピアノとトランペットはこんなにも違う性格を持った楽器だったのです。
この2種類の楽器は、なぜこんなにも性格が違うのでしょうか?
それは、トランペットとピアノの、音の鳴る仕組みの違いに関係しています。実は、音の鳴る仕組みから世界中の楽器を分類すると、トランペット型の楽器とピアノ型の楽器の2種類に分けられるのです。
まず、ピアノ型の楽器から説明しましょう。
ピアノ型の楽器は、始めに力を加えて音を鳴らすと、後は力を加えなくてもしばらく音が鳴り続けるタイプの楽器です。シンバルや太鼓などの打楽器、ピアノなどの打弦楽器、弦をはじいて音を鳴らすギターやベースなどの撥弦楽器がこのタイプに含まれます。このタイプの楽器は、たたく、はじく、という一瞬に力をかけるだけで、後は力をかけません。音は、力がかかったときに鳴り始め、徐々に減衰しながらしばらく鳴り続けます。
これらの楽器では一瞬に力をかけるだけで音が鳴るわけですから、音色をコントロールできる要素が少なく、音色のバリエーションは比較的乏しくなります。また、楽器を発音させるのは、いたって簡単です。ピアノなんかは、鍵盤の上を猫が歩いてもちゃ〜んとピアノの音が鳴るほどです。
次にトランペット型の楽器です。
トランペット型の楽器は、力を加え続けることによって音が鳴るタイプの楽器です。息を吹き続けることで音が鳴る管楽器(トランペット、フルートなど)、弦を弓でこすり続けることで音が鳴る擦弦楽器(バイオリン、チェロなど)がこのタイプに含まれます。このタイプの楽器は、力を加えている間だけ音が鳴り、力を加えるのをやめると音が止まります。
これらの楽器では力をかけ続けることで音が持続するわけですから、力のかけ方を変化させることによって音色を自由に変えることが可能になります。
また、楽器を発音させる力のかけ方が難しく、その楽器らしい音を鳴らすためにある程度の訓練が必要になります。
さて、ここまでお話しして、VA音源がなぜ管楽器や擦弦楽器にこだわるのか、そのワケがぼんやりと判りかけてきたのではないでしょうか?
従来の音源システム(ヤマハ音源御三家でいうとAWM2音源とFM音源)、とりわけAWM2音源(いわゆるPCM音源)は、ピアノ型の楽器を再現するのに非常に優れている一方で、トランペット型の楽器については音色変化が複雑すぎて十分には再現しきれなかったのです。
トランペット型の楽器の音色を電子楽器で再現するためには、従来の音源システムとはまったく違う、新しい音源システムが必要でした。
そこで、管楽器や擦弦楽器に頑固なまでにこだわった、VA音源の登場ということになったわけです。
さて、これで第一回目はおしまいです。最後まで読んでくれた皆さん、どうもありがとう。
次回は、トランペット型の楽器を再現するのになぜVA音源が適しているのか、について書く予定です。
こうご期待!! |